自分を変えたいと思ったときに。あなたをちょっと成長させる12冊の本

何かにつまづいたり迷ったりしたとき、もしくはふとした瞬間に、このままの自分じゃ嫌だ!違う自分になりたい!と強く思うことは誰にでもあります。とはいえ、人はそんなに簡単には変われませんよね。そんな時は、自分以外の誰かの考え方や生き方を知ることで、意外なヒントが得られるもの。今回は、様々なジャンルの中から”自分をちょっと成長させてくれる本”を12冊紹介します★
言わずと知れた大ベストセラー
『人を動かす』D・カーネギー
30万部売れればベストセラーといわれる出版業界の中、世界で1500万部・日本国内だけでも500万部を突破した歴史的ベストセラー。発売から80年たった現在でも多くの方から愛され、支持され続けています。
タイトルのイメージから『リーダーシップを身に付けるための本』だと思われがちですが、全体を通してコミュニケーションに役立つ『人間関係の原則』について書かれているので、どんな立場の方にもオススメの1冊です。つらつらと教訓だけを書き並べるのではなく、カーネギー自身の失敗談、偉人の言葉、身近な実例など、興味深く飽きない内容になっています。
最近はコミック版もよく見かけます。活字が苦手な方はそちらもオススメ★
DATA
D・カーネギー著 / 山口博訳
出版社:創元社
発行日:2016/1/20
まんがでわかる D・カーネギーの「人を動かす」「道は開ける」
藤屋伸二監修 / nevイラスト
出版社: 宝島社
発売日:2015/4/9
『伝え方が9割』佐々木圭一
ヒット連発のコピーライター・佐々木圭一さんが、仕事をする中で自ら発見した『強いコトバをつくる技術』を分かりやすく紹介してくれています。
人の心に触れる言葉は天から降ってくるのではなく、レシピさえ知っていれば誰でも作ることができる、という考え方にハッとさせられました。文章を作る仕事に就いている方はもちろん、人に気持ちを伝えるのが苦手だと感じている方にもオススメです。
さすが、と思うのは、最後まで飽きずにサクサク読めてしまうところ。もっと深く知りたい方のために、続編の『伝え方が9割 2』も出ています。
ちなみに、この本の売上の一部は世界の識字率向上のため、発展途上国などへ寄付されます。読者ひとりひとりが言葉の普及に参加できるなんて、素敵ですよね。
DATA
佐々木圭一著
出版社:ダイヤモンド社
発行日:2013/2/28
ストーリー仕立てで楽しく読む
『夢をかなえるゾウ』水野敬也
よくある自己啓発書やビジネス書のイメージを打ち破り、軽快な小説のように仕上がったシリーズです。
主人公は、人生を変えたいと思いながらも何も変えられないサラリーマン。そこへ現れたのは、ゾウの姿でなぜか関西弁を喋る自称神様・ガネーシャ。本人曰く、ニュートンや孔子、ビル・ゲイツもガネーシャの元教え子らしい…。そんなうさんくさすぎるガネーシャですが、彼の教えを実行するうちに、知らず知らず主人公は少しずつ変わっていきます。
ガネーシャの教えもありがたいのですが、それ以前に読み物として本当に面白いです!ガネーシャの親友・釈迦とのコントも必見ですよ(笑)
DATA
水野敬也著
出版社:飛鳥新社
発行日:2011/5/28
『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン
登場人物は2匹のネズミと2人の小人。彼らは毎日迷路の中を歩き回り、チーズを探し求めています。ある日、大きなチーズを見つけて”これでもう大丈夫”と思った矢先、なんとチーズが消えてしまった!
すぐに新しいチーズを求めて行動を始めたネズミたちとは反対に、2人の小人は嘆いたり怒ったり、その場をなかなか離れずにいました。しかし、ついに1人の小人は再び迷路へ旅立ちます。そこで彼が気付いたこと、見付けたものとは…。
何かを始めたい、もしくは見切りを付けたいのに、変化が怖い。そんな思いを抱えている方に勇気をくれる1冊です。とても短い物語なので、1時間程度で読めますよ^^
DATA
スペンサー・ジョンソン著 / 門田美鈴訳
出版社:扶桑社
発行日:2000/11/30
人生の先輩に学ぶ
『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』若宮正子
60歳からパソコンを学び始め、81歳でスマホアプリゲーム『hinadan』を開発し、世界中から称賛を浴びた若宮正子さん(通称マーチャン)からのメッセージ集です。
好奇心旺盛でクリエイティブ、興味があればとにかく行動!機会があるなら、安倍首相にもAppleのCEOティム・クックにも会いに行く!そんなパワー溢れるマーチャンのポジティブで温かい言葉に背中を押してもらえる1冊です。
表装や各章ごとに飾られているエクセルアートもとっても素敵でした。こういう方が、もっともっとたくさん日本にいて欲しいと思います。
DATA
若宮正子著
出版社:ぴあ
発行日:2017/12/10
『九十歳。何がめでたい』佐藤愛子
110万部を突破し、現在も大ヒット中のベストセラー。タイトルからも表紙の絵からも想像できる通り、気持ちの良い毒舌とユーモアで書かれたエッセイです。ちなみにタイトルは、老人性ウツ病になりかけていた頃のヤケクソを籠めて付けたんだそう。
文明の進化に寄りかかる人々には”来るか?日本人総アホ時代”、些細なことに炎上する風潮には”いちいちうるせえ”。
多くの人が実は心の底で思っていることをバシッと言ってくれると、日頃の鬱憤が晴れるような爽快さがありつつ、このままの世界、そのままの自分でいいのか?と問われているような気もします。
毒舌なのに愛がある、佐藤さんの魅力が溢れる1冊です。
DATA
佐藤愛子著
出版社:小学館
発行日:2016/8/6
ネガティブ思考を変えるドポジティブな本
『あなたの人生がつまらないと思うなら、それはあなた自身がつまらなくしているんだぜ。』ひすいこたろう
どんなにショッキングな出来事だろうと、死にたいほど落ち込んでいようと、この本を開けば何でもドポジティブに変換してくれます。
例えば、トイレで大をしたのにペーパーがなかったらどうしますか?常人なら絶望するところですが、この作者は違います。
世界中の3分の2の人類は、ペーパーなんか使わない。じゃあ何を使うのか。砂、小石、葉っぱ、とうもろこしの毛および芯。そう、私たちの常識は世界の非常識。砂をトイレットペーパーと解釈できるほど世界は広いのです。
なんかもう、自分を取り巻く何もかもが小さく見えてきますね(笑)
こんな具合にドポジティブ変換は続くのですが、実は理論や経験に基づいたものばかりで、深く納得させられます。そして、ただ単純にポジティブ思考が良いとするのではなく、嫌な感情もすべてそのまま受け入れれば良い、という考えに人間性の深さを感じますよ。
DATA
ひすいこたろう著
出版社:ディスカバー・トゥエンティワン
発行日:2015/11/15
スポーツ選手のメンタルコントロール
『心を整える』長谷部誠
これほど点の入らないスポーツはないと言われるほど、サッカーは結果を出すのが難しいスポーツです。Jリーグチェアマンの村井満さんも、プロがやってもミスが連続する”心が折れる連続のスポーツ”だと言っています。
思い通りの結果が出せずに積み重なるストレスと、日本代表という重圧の中、選手はどうメンタルコントロールをしているのか。長年、日本代表のキャプテンを務める長谷部誠選手の”心の整え方”が紹介されています。
立場は全く違いますが、私たちが参考にできることも多く、読んでいるだけでも心が整ってくる気がします。
長谷部選手の大好きなMr.Childrenの曲もたびたび登場するので、ミスチルファンも楽しめるはずですよ。
DATA
長谷部誠著
出版社:幻冬舎
発行日:2011/3/20
あの戦争がのこしたもの
『不死身の特攻兵』鴻上尚史
大量の爆弾を積んだ戦闘機に乗り込み、敵艦船を目がけて体当たりの自爆攻撃を行う”十死零生”作戦だった神風特別攻撃隊(特攻)。倫理上の問題だけでなく計算的にも成功の見込みがないことを、優秀なパイロットほど理解し、苦悩していました。
しかし、上官の命令は絶対の時代。家族のため、祖国のためと、多くの尊い命が奪われました。
そんな中、上官の命令を無視し、9回出撃して9回とも生還した特攻兵がいたのです。臆病者と詰られても、必ず死んでこいと命令されても、彼は自分の信念を曲げず、死にも逃げもせずに戦争を生き抜きました。
あの時代にどうしてそんな風に生きることができたのか、著者は2015年にご本人を訪ねています。
戦争体験者は年々少なくなり、美化されたイメージが残りつつある現在。今までとは少し違う視点から戦争を見つめられるこの本を、多くの方に読んでほしいと思います。
DATA
鴻上尚史著
出版社:講談社
発行日:2017/11/20
心を揺さぶる小説
『翼―cry for the moon』村山由佳
父の自殺や母からの言葉の暴力によって心に深い傷を抱える主人公の真冬は、日本を逃れニューヨークで生活する大学生。真冬の恋人の幼い息子もまた、母から虐待を受けて育った子供でした。そんな2人に更なる過酷な運命が襲いかかります。
傷付いた魂の再生をテーマに、ニューヨークからアリゾナにかけて広がる物語は圧巻のスケールです。人種差別、ジェンダー問題、児童虐待などの問題もところどころに織り交ぜられていますが、とても読みやすく、ぐんぐん惹き込まれていきます。
どこかの大国のリーダーでさえ人種差別を容認する今だからこそ、こういう小説が必要だと思います。肌の色や国境なんて、本当は何の意味もないんですよね。
DATA
村山由佳著
出版社:集英社
発行日:2002/6/25
『世界から猫が消えたなら』川村元気
末期がんを宣告され、自分の人生がもう幾ばくも無いことを知った主人公の前に、自分と同じ顔をした”悪魔”が現れます。悪魔は”世界から何かを消す代わりに寿命を1日伸ばす”という契約を持ちかけ、主人公もそれに乗ることに。
電話、映画、時計、と次々にものを消していく中で、本当に必要なものは何か、自分を形成するものとは何かを見つめ直していくお話です。
普段当たり前に存在しているものが消えた時、自分だったら何を思うのか。主人公と一緒に考えながら読むと、世界の見方が少し変わるかもしれません。涙なしには読めない小説のひとつです。特に猫好きさんにオススメ。
DATA
川村元気著
出版社:小学館
発行日:2014/9/23
『舟を編む』三浦しをん
2012年の本屋大賞受賞作です。
一言でいうなら「辞書を作る話」。莫大な費用と膨大な時間がかかり、おまけに地味、そんな辞書作りに果てしない情熱を捧げる人たちの物語です。”言葉”という大海を自由に航海する”舟”を編むため、彼らは15年もの時間をかけてたった1冊の辞書を作ります。
目の前の小さな仕事にまじめに取り組むことで、ほんの少しずつでも進んでいける、やがては大きな達成感が味わえる。そんな風に勇気や希望を与えてくれる1冊です。仕事に疲れたとき、意味を見出せなくなったときに開いてみては。
DATA
三浦しをん著
出版社:光文社
発行日:2015/3/20
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
今回は、”自分をちょっと成長させてくれる本”を選んで紹介させて頂きました。
最近は似たり寄ったりの自己啓発本が大量生産されていますが、その中に埋もれず、何年たっても愛される(愛されてほしい)本を厳選したつもりです。
何かに迷ったときや行き詰ったとき、背中を押してくれる本を見つけてもらえたら、心から嬉しく思います*
ライタープロフィール

飼っている猫と、今まで読んできた小説が宝物です。物語が大好きなので小説ばかり読んでいますが、時々思い立ったようにノンフィクションやビジネス書も読みます。記憶にある限り、人生で最初にはまった本は「エルマーのぼうけん」でした。大好きだったなぁ。