介護を受ける前のエチケット!「介護脱毛」ってどんなもの?
「脱毛」と聞くと、若い世代の人たちがするものだと思っている方も多いのではないでしょうか。たしかに、10~20代の脱毛をしている女性は決して珍しくありません。その動機としては、「露出度が高い服を遠慮なく着られるように」「恋人に見られても恥ずかしくないように」といった声をよく耳にします。
その一方で、脱毛を受ける40代後半~50代の方も増えているのはご存知でしょうか。その目的は、ずばり「介護脱毛」。「介護」と「脱毛」と聞くと、一見関係のないように聞こえるかもしれません。一体どのようなものなのか、詳しくお伝えします!
介護脱毛ってどんなもの?
あまり聞きなれない「介護脱毛」という言葉ですが、その名の通り「介護を受けるときに備えて脱毛しておくこと」を指します。自宅や施設で介護を受ける際のエチケットとして、事前に脱毛処理をしておくのです。
「終活脱毛」とも言われており、老後を見据えて実践する女性がじわじわと増えています。とくに多いのが、親の介護を経験した女性が「自分が介護されるときのことを考えて…」と脱毛をするケース。自分自身の体験を通じて、介護時の脱毛の必要性を感じたのでしょう。
脱毛する部位は、主にアンダーヘア。
正面太ももの付け根部分のVライン、股の中央(性器周辺)のIライン、肛門周りのOラインと分けて表記されることが多く、アンダーヘアの全体の脱毛はVIO脱毛と呼ばれています。
VIO脱毛をしておくメリット
介護をされる前にVIO脱毛することで得られるメリットは、大きく分けて2つあります。
その内容をそれぞれチェックしてみましょう。
肌トラブルを防ぐ
高齢者は免疫力が低く、ちょっとした刺激で肌トラブルを引き起こす可能性が高い傾向にあります。アンダーヘアが長い場合は排せつ物が毛に絡まってしまうため、何度もふき取らなければなりません。
その結果、皮膚への刺激によって肌トラブルが発生してしまうケースもあるのです。高齢者は皮膚の再生力も低下しているため、一度皮膚が荒れてしまうとすぐには元に戻らないでしょう。
また、いくら拭いても完全にふき取ることができず、雑菌が繁殖してしまうケースも見られます。とくに介護用おむつを着用するようになった際は、デリケートゾーンに排せつ物が付着しやすくなってしまいます。
このような不衛生な状況は、悪臭の原因にも繋がります。ときには、シラミなどが発生することも少なくありません。
事前にアンダーヘアを手入れしていれば、排せつ時にふき取る回数を減らせるため、肌への負担を最小限に抑えることができます。介護用おむつの着用の有無にかかわらず、デリケートゾーンを清潔かつ肌トラブルなく保てるようになるでしょう。炎症などを起こした際に発生する、薬代や診察代の節約にもなりますね。
介護する側の負担を減らす
排せつのたびに何度もふき取る作業は、介護をする側にとっても負担になります。アンダーヘアが無い、もしくは少ない状態だと、時間や手間を省くことができるでしょう。
また、肌トラブルが起きて受診をする際は、わざわざ病院まで行かなければなりません。医師に自宅まで来てもらうにしても、介護者が連絡をする必要があるでしょう。それに加え、入浴や排せつのたびに塗り薬を塗る手間も発生してしまいます。
介護脱毛は、このような介護側の手間を省けるメリットがあります。実際に、介護をした人の多くが「排せつ時の対応が大変だった」と感じているようです。
事前の取り組みによって、その苦労を少しでも減らせるのは嬉しいですよね。介護を受ける際に感じる「申し訳ない」「恥ずかしい」という気持ちを和らげることもできるでしょう。
脱毛をしていない場合に困ること
アンダーヘアをそのままにした状態で介護を受けるようになると、先ほど説明したような介護する側の労力の増加や肌トラブルの原因に繋がってしまいます。ご自身にとっても、介護者にとっても負担になってしまうでしょう。
とくに最近では、介護施設に入所できず自宅介護を受ける人が増えています。自分の子に介護をしてもらう場合、「他人以上に恥ずかしさや罪悪感を感じる」という人も少なくありません。デリケートな排せつ時の対応だからこそ、できるだけスマートに済むようにしておきたいですね。
そして「介護を受ける直前に脱毛すればいい」と先延ばしにするのも注意が必要です。というのも、レーザーや光による脱毛は毛根部分の黒いメラニン色素に反応させることで脱毛させる仕組み。アンダーヘアの部分に白髪が混じってしまうと、脱毛効果が思うように得られなくなる可能性もあるのです。
アンダーヘアが白髪になる原因は、加齢をはじめ遺伝や毎日の生活習慣などさまざま。白髪が発生する年齢も人によって異なるため、できるだけ早いうちから脱毛をしておくと安心です。
また、完全に脱毛をするにはクリニックに数回通う必要があります。通う体力面においても、早めに通っておいた方がスムーズでしょう。
介護脱毛を受ける手順
介護時のことを目的とした脱毛でも、通常の脱毛と同様に取り組みます。
まずは通いやすい脱毛サロンやクリニックを探してみましょう。なかにはアンダーヘアに対応していないところもあるので、事前にサイトの確認や問い合わせをしておくことが大切です。
また、多くのサロンやクリニックでは無料カウンセリングを実施しています。料金システムや痛み、今後の流れなどを直接説明してもらえるので、気になることは積極的に聞いておきましょう。肌の状態を見てもらうこともできるため、黒ずみなどの状況をチェックしてもらうと安心です。カウンセリングは女性スタッフが行っているケースが多いのも嬉しいですね。
とくにアンダーヘアは「どのくらいの範囲を残しておくか」「どの部位を処理するか」といった打ち合わせをする必要があります。全てツルツルはちょっと…という方は、「Vラインはコンパクトに残してIラインとOラインは完全に脱毛する」という方法がいいですね。
排せつ物が付着しやすいのはIラインとOライン。Vラインの理想の形や濃さとあわせて、しっかりと話し合っておきましょう。
契約をしたら、いよいよ脱毛がスタート。施術時の痛みには個人差がありますが、デリケートゾーンは毛が濃い部分のため強い痛みを感じるケースも。麻酔をしてもらえるところもあるので、不安な方はスタッフに聞いておきましょう。
脱毛効果は施術を受けるごとに高まっていくため、脱毛完了まで何度か通う必要があります。施術を受けられるペースは、クリニックやサロンによってさまざま。アンダーヘアの辺りに白髪が混じってきた、自分の体力が落ちてきたという方は、できるだけ短いペースで通えるところを探してみましょう。
アンダーヘアに白髪がある方の脱毛方法
白髪は、普通のレーザー脱毛では効果を得られません。レーザーは毛根のメラニン色素に反応する仕組みなので、メラニン色素の抜け落ちた白髪には反応してくれないのです。
ではどうすれば良いのかというと、ニードル脱毛(針脱毛)を行います。
ニードル脱毛は毛穴に針を差し込み、乳毛頭(毛の根元部分)に電気を通して破壊する方法です。そのため、レーザー脱毛より痛みを強く感じやすいのですが、相談すれば麻酔を処置してくれるクリニックもあります。心配な方は、事前に調べておくと安心ですよ。
ニードル脱毛ができるおすすめのクリニックは、ビューティースキンクリニックです。麻酔も3種類用意されていますよ。
まとめ
自分がいつ介護を受けるようになるかは、誰にも想像できません。アンダーヘアが濃い・多い状態だと、不衛生な状態や肌トラブル、悪臭の原因になってしまうことも。排せつ時に何度もふき取ってもらう、ふき取る際の摩擦で肌が傷む、通院や薬を塗る手間が発生する、医療費がかかるなど、多くのデメリットに繋がってしまいます。
そして、アンダーヘアの脱毛は白髪が発生する前に数回にわたって施術を受ける必要があります。サロンやクリニックに通える今のうちに、介護脱毛を済ませておきましょう。美肌や美白効果を得られるところもあるので、デリケートゾーンを見られても恥ずかしくない状態にケアしておくと安心ですね。
ライタープロフィール
一児の母兼フリーライター。学生の頃に見学した介護施設にて、介護の現状を目の当たりにしました。とくに排せつケアは、1日に何度も何度も繰り返されるハードな作業。「おしりがヒリヒリするわ…」と嘆いていたおばあさんが印象的でした。