不妊治療体験記vol.6~初めての体外受精に向けて採卵準備~
前回の記事では、タイミング法、人工授精を繰り返し行うも、一向に成果が出ないことを受け、ついに体外受精への挑戦を決めた私。家からも通いやすく、比較的リーズナブルな料金設定の病院に通うことになりました。体外受精の説明会に夫婦で参加し、知識も意欲も急上昇!人生初の体外受精は、一体どうなるのでしょうか…!?
体外受精前の準備!採卵までのさまざまな方法
体外受精とは、その名の通り体の外で受精をさせること。まずは卵子を育てていき、「採卵」の手術を行ないます。
手術といっても、プスッと針を刺して卵子を取るだけ。回収された卵子に精子をふりかけて受精させ、後日子宮に戻す…という流れです。
通常なら1番すくすくと育った卵が排卵するのですが、それだと1個の卵しか採卵できませんよね。そこで、注射や薬で複数の卵を育てていくのです。そうすれば、たくさんの卵が一気に取れるチャンスが増えますからね!
それぞれの卵巣刺激法の特徴&メリット
採卵までの卵の育て方(卵巣刺激法)には、いくつかの方法があります。なお、病院によってはメインに扱っている方法、そもそも扱っていない方法があるケースも。希望の方法がある方は、事前に確認しておくと安心ですよ。
自然周期法
薬や注射をほとんど使わず、自然に排卵する力に委ねて採卵をします。採卵までのコストを抑えられるうえに、身体への負担も最小限で済みます。
ただし、採卵できるのは1個くらい。
採卵できたとしても、
「うまく受精できなかった」
「途中で受精卵の成長が止まった」
なんてことになる可能性も。
結果的に、何度も採卵を繰り返すケースもあります。
また、採卵前に排卵してしまうと卵を取ることができません。そのため、採卵すらできずにキャンセルになることも。
1回あたりの費用は少なく済んだとしても、挑戦する回数が増えて結局高くなってしまった…というパターンも少なくないようです。
アンタゴニスト法
まずはピルを飲んで生理を見送ったあと、生理開始日の2~3日目から注射をしていきます。1~2週間ほど注射をして卵胞が大きくなってきたら、さらに「アンタゴニスト」と呼ばれる注射も併用していきます。
たくさんの卵子を得られるチャンスがあるので、1度の採卵で数回にわたって移植できることも。自然周期と異なり、「採卵前に排卵しちゃった…」というリスクが低いというメリットもあります。
その代わり、注射が多く何度も病院まで来る必要があります。また、注射代もかかるため、採卵に必要なコストはどうしても高くなってしまいます。
ロング法
採卵前の周期に点鼻薬を毎日行ない、生理が来たら3日目から注射を7~10日ほど毎日打ちます。アンタゴニスト法と同じく、こちらも毎日の注射が欠かせません。
複数の卵子を得られる可能性が高く、使わなかった受精卵を凍結胚としてストックしておくこともできます。
ショート法
ロング法よりも点鼻薬を使う期間が短い方法です。さらに短い、ウルトラショート法というのも存在します。
私が行なった刺激方法は…
ご覧のように、さまざまな刺激方法があるなか…私がすることになったのは「アンタゴニスト法」でした。その病院がアンタゴニスト法を推していたこと、そして「初めての体外受精だから、たくさん卵を採卵してストックしておこう」という先生の判断によるものです。
先生から「アンタゴニスト法でいきましょう」と言われた瞬間、一気に恐怖感に襲われたのを覚えています。
覚悟は決まっていたはずなのに、「ついに始まるのか…」と思うと怖くなってしまったんですよね。ここまできたら突き進むしかないので、「半月の我慢だ…」と自分に言い聞かせながら帰宅しました。
ついに採卵準備開始!アンタゴニスト法のスケジュール
刺激方法も決まり、いよいよ採卵に向けて準備開始!新たな挑戦を前に気分は晴れやか…ではなく、これから待ち受けている大嫌いな注射や面倒な通院が待っているのかと思うと、憂うつでたまりませんでした(笑)
1回目の受診
「生理が来たら3日目に病院に来てね」という指示通り、生理3日目に受診しました。
「今日から注射だ!」と思い込んでいたのですが、その日はクロミッドを5日分渡されただけで終了。注射は翌日に持ち越しとなりました。
しかも、以前は「毎日注射だよ」と言われていたのですが、まさかの「注射は隔日で行ないましょう。その代わり、クロミッドを併用していきます」とのこと。
「やった!通院も注射の回数も減るじゃん!」と内心ガッツポーズでした(笑)
この日の費用は問診の580円と、院外処方の薬代570円だけでした。この日から、5日間毎日クロミッドを飲み続けます。私の場合、とくに副作用はありませんでしたよ。
2回目の受診!いよいよ初注射
1回目の受診の翌日、またしても受診です。
前日は避けられた注射も、今度こそは逃げられません…。名前を呼ばれたら、診察室ではなく注射室に誘導されました。
どうやら、注射だけの日は問診すらしないようです。お陰で待ち時間はかなり短縮されますが、診察代はしっかり取られています(笑)
筋肉注射だったので、おしりにしてもらうことに。痛みは一瞬だけなので、「あれ?案外そこまで苦痛じゃないぞ」と拍子抜けしちゃいました。
注射が終われば、さっさと会計です。
値段は2,020円。
「この一瞬で終わる注射のためだけに来たのか…」と、少々複雑な気分を味わいながら帰宅しました。
3~6回目の受診!注射パラダイス
※イメージ画像でお送りしております
「隔日の注射でいいよ」と言われていたものの、それはクロミッドを飲んでいる間だけのこと。服用が終われば、注射の頻度は毎日に変更されました…(泣)
というわけで、採卵周期3回目の受診からは連日の通院になります。
注射、注射、注射の連続。
ササッと病院に来て、注射室に呼ばれ、看護師さんにおしりを見せ、プスっと刺され、お金を渡して、ササッと帰る…の繰り返しです(笑)
この時期は、「家から近い病院でよかった」と心の底から感じていました。
初回は迷子になった病院までの道のりにも、すっかり慣れてきました。相変わらず一瞬痛い筋肉注射も、もう慣れっこです。
ただ…生理から1週間経った頃から、注射の数が増えました(泣)前回は注射だけの日も多かったのですが、途中からはエコーでの内診も加わります。卵の状態を見て、注射の数や種類を決めてるんでしょうね。
私は「アンタゴニスト法」だったので、途中から名前の由来である「アンタゴニスト注射」が登場。
これにより、最大で1日3回の注射をしました。
その頃の日記(私、昔から毎日日記つけてるんです)には、「死ぬかと思った」と書かれていました…。
注射1回だけの日は2,020円でしたが、アンタゴニスト注射が増えた途端に値段もアップ。注射3本+エコーの日は13,980円、注射2本+エコーの日は9,240円でした。
7回目の受診!いよいよ採卵決定
生理開始から11日目、7回目の内診にて
「卵がいい感じに育ってきましたね!明後日に採卵しましょう」と告げられました。
つまり、注射パラダイスも今日で終了!ひゃっほう!と喜んだ瞬間、看護師さんから予想外の言葉が飛び出したんです…。
「明後日に採卵ですよね。じゃあ今日の夜9時にもう1回注射を打つので、また病院に来てください」と…。
今は朝の11時。
つまり、同じ日の夜遅くに再び病院に来なければならないのです。
採卵前にする最後の注射は、採卵の時間に合わせて打つ必要があるとのこと。採卵時間は朝イチと決められているため、最後の注射の時間も自動的に固定されるのです(泣)
この頃、私は夕方~夜にかけてのバイトをしていました。時間帯的に通院とかぶらなかったので、これまで不妊治療が仕事に影響することはほとんどなかったのですが…ここにきて初めて「今日のバイトどうしよう」という状態に陥ってしまったんです。
とはいえ、この注射は絶対にしなければなりません。このバイト先に電話し、初めて当日欠勤をすることになりました。
この日の会計は、2回の通院合わせて6,560円。あの高額なアンタゴニスト注射はもう行なわなかったため、値段がやや抑えめでした。
採卵前の説明
いよいよ採卵が決まり、看護師さんから個別で説明を受けます。
・マニキュアは取っておく
・化粧禁止
・のどが渇くので飲み物を持ってくる
など…。
注意事項が書かれた紙をあれこれ渡されて帰宅しました。
採卵前日は注射が不必要のため、久しぶりに通院のない1日です。採卵は朝早くから行なわれるため、早めに布団に入りましたが…ソワソワしてなかなか眠りにつけませんでした。
採卵当日
いよいよ採卵当日。
朝5:45に起きて、主人と一緒に病院へ向かいます。この日に採卵する人が続々と来院し、全部で4~5組ほどの夫婦が揃いました。
看護師さんに案内され、ぞろぞろと女性陣が部屋へ入っていきます。男性たちは別室へ。部屋に入ると、カーテンで仕切られたベッドが並んでいました。
案内されたベッドには、病院が用意した着替えと謎の薬が…。「なんだろう、これ…?」と不思議に思っていると、看護師さんがひょこっと顔を出して「それに着替えたら、ご自身で座薬を入れてくださいね」と声をかけてくれました。
そう、謎の薬の正体は…痛み止めの座薬だったのです(笑)おそらく人生初の座薬に、ビビりまくる私…10分くらいかけて、ようやく任務を遂げました。
ベッドで待っていると、再び看護師さんの登場。今度は、またしても人生初の点滴をされました。ずっと注射されてる気分…もう半泣きです。
そうこうしていると、ほかの患者さんに「お待たせしました。では行きましょうか」と声がかかっているのが聞こえました。この日病院に来たのは私が1番だったのですが、採卵の順番はすでに決まっていたようです。
採卵室へ
心臓バクバクの状態で待っていると、ついに私の名前が呼ばれました。看護師さんに連れられ、採卵室の横で待機します。
しばらくすると、ちょうど採卵を終えたばかりの女性がストレッチャーで運ばれて出てきました。思わず彼女の顔を見ると、なんだか疲れ切った表情…。「私も今からこんな感じになるのか…」と思うと、より一層恐怖を感じました。
名前を呼ばれて一歩中へ入ると、そこはもう手術室そのもの。言われたとおりに寝転び、足を広げます。周囲の看護師さんや先生はせわしなく動き回っており、私だけがポツンと寝ている状態した。
私が通っていた病院は局所麻酔メインのため、採卵中もずっと意識のある状態が続きます。(眠った状態になる静脈麻酔と選択できたのですが、看護師さんの「うちでは9割の人が局所麻酔を選びます」という言葉に釣られちゃいました)
まずは局所麻酔を行ないます。
先生が「全部で4回するからね~」と言った途端、下腹部に強い鈍痛が…。プスッと刺した感覚はないのですが、子宮がねじれそうに痛いです。
後半は、思わず「うぐぐ…」とうなり声が出てしまいました。
「はい、終わったよ!」と言われたところで、いよいよ採卵です。私側から採卵の様子は一切見えないのですが、看護師さんがより一層バタバタしだしたので「ついに採卵が始まるんだ…!」と分かりました。
「いつ採卵が始まるんだろう…」
と構えていたら、看護師さんが「○○行きまーす!」「はい、次!」と謎の言葉を掛け合いだしたんです。
「どういう意味なんだろうなー」
なんてボンヤリ考えていると、
「あれ!? もしかして採卵始まってる!?」とようやく気が付いた私。
そう、局所麻酔の注射は激痛だったものの、採卵中の痛みはまったく感じなかったんです…!
あれよあれよという間に採卵が終わり、そのままストレッチャーでゴロゴロと運ばれて行きました。
採卵を終えて
その後は、先ほどまでいたベッドで安静にするだけです。「副作用の影響でのどが渇くので、これを飲んでいてください」とペットボトルのお茶を渡されました。
そのときは軽く受け流していたのですが…このあと、本当にのどが渇いて仕方ありませんでした。
飲んでも飲んでものどがカラカラの状態。病院を出るまで、ずっとこの感覚が続いていました。
その後とくに体調の変化もなく、旦那と再会してお会計へ。この日の会計は、278,350円でした。もちろんクレジット払いです。
覚悟はしていましたが…やはり金額を目にすると、「たっかいなぁ…」と落胆しちゃいますね。これでも、ほかの病院に比べれば安いほうなのですが…。
採卵後は、主人といつも通り買い物をして帰りました(笑)局所麻酔は静脈麻酔に比べて回復が早いせいか、ごく普通にスタスタ歩けていましたよ。
採卵の感想は…正直に言うと、「もう2度と経験したくない」です。連日の注射ラッシュに加え、病院への往復。そして局所麻酔の激痛…。ずっと「きっと、これが人生最後の採卵だから」と呪文のように言い聞かせていました。
採卵後の流れ
必死の思いで採卵した卵たちは、一体どうなったのか…。採卵後は、ひとまず病院からの報告を待つことになります。
受精確認
採卵翌日の朝、病院の培養士さんから受精確認の電話がかかってきます。瞬時にスマホに飛びつくと、「6個の受精卵ができました。これからじっくり成長させていきますね」とのことでした。
さらにその2日後、再び培養士さんから電話が。「あのあと、さらに2個の受精卵ができました。これで受精卵は8個ですね!」という嬉しい報告でした。
念のため、そのうちの1個はここで凍結することに。のこり7個は、もう少し成長させていきます。
そのさらに2日後、「胚盤胞まで育った4個を凍結しました。2個は成長がストップしたため廃棄、1個はもう少し様子をみます」という連絡が。
翌日になると、「様子を見ていた1個が胚盤胞になりました」と言われたため、私の持ち駒は「初期胚1個、胚盤胞5個」になりました。
胚盤胞のグレードについて
受精卵がある程度育った胚盤胞には、「5AB」「6BB」といったようなグレードが付けられます。
数字は「胚盤胞の成長速度」
1つ目のアルファベットは「内細胞塊の評価」
2つ目のアルファベットは「栄養膜の評価」
だそうで…。
「5AA」はグレードが高い、「5CC」がグレードが低いということになります。
初期胚にもグレードがつけられますが、胚盤胞とは異なりグレード1~5までの評価をするケースが多いです。詳細な評価方法は病院によってもさまざま。
「グレードが高いほど妊娠が期待できる」と言われているので、採卵した卵たちのグレードは非常に気になるところ。
しかし、うちの病院では「グレードは電話では教えず、医師から直接伝える」というルールがあったんです…(泣)
グレードが気になるのに、培養士の人からは「胚盤胞ができましたよ」しか教えてもらえない…。ソワソワした気持ちを抑えつつ、採卵から10日ほど経った日に病院へ向かいました。
グレードの報告
医師から、初期胚1個、胚盤胞5個のグレードを教えてもらいました。
一番いいもので4AB。そのほかは、4BB・3BC・3CC・4CCでした。
正直なところ…かなりショックです。
先生も「4ABと4BBにかけましょう」といったニュアンスで話していたし、3BC・3CC・4CCはほぼ期待できないのではと感じました。
今回は全ての受精卵を凍結させたため、移植は次の周期に行なうことに。こうなったら、グレードの高い卵に望みをかけるしかありません。
ちなみに、採卵当日に採精した主人の精液は運動率30%越え!これまで10~20%台をウロウロしていた主人にとっては、上出来の結果でした。(もう少し悪ければ、顕微授精になってさらに料金が高くなるところでした…)
そして、先生からシート法とアシストハッチングを提案されました。
シート法とは、受精卵を培養したときに使った培養液を凍結しておき、移植の前に融解して子宮の中に注入することです。培養液には受精卵から出たエキスも含まれているため、子宮が胚を受け入れやすい状態になるそうです。
アシストハッチング(AHA)は孵化補助術とも言われており、胚盤胞を覆っている透明膜をあえて薄くすることで着床率アップを狙うもの。どちらも、それぞれ追加費用がかかります。
妊娠を期待できる胚盤胞の数が少ない私にとって、1%でも成功率が上がるなら…やらない手はありませんでした。普段なら10円でも安いものを買う私が、数万円のオプションを即答で決めてしまう…。これが不妊治療の恐ろしいところですね(笑)
先生からの話が終わったあとは、これから使用する点鼻薬などをまとめて処方されました。そのため、薬代が加わり会計は11,230円に。
そして…受精卵の凍結代として、63,720円が加算されます!これは、初期胚1個、胚盤胞5個にかかる費用です。個数が多ければ、さらに多くの費用がかかることに…。(ちなみに、凍結胚を使うときは「融解代」も発生しますよ…笑)
看護師さんに薬の使い方をしっかりレクチャーされたので、ここからしばらくは通院せずに済みます。
ついに体外受精!初めての移植
採卵に比べ、移植周期はそこまで来院回数が多くありません。注射パラダイスなくて幸せ…と思いきや、その代わりお薬パラダイスとなります。
採卵が終わったあとから、「ソフィアC」という薬を毎日飲み続けます。
そして、生理が来る少し前から「スプレキュア」という点鼻薬もスタート。鼻にシュッとスプレーするだけなのですが、鼻の奥を介してうっすら薬剤の独特な味がします(笑)
この点鼻薬は少々値段が高いため、この病院では「2分の1」「3分の1」といった分割で処方されました。「余ったらもったいないから」だそうで、本当に患者さんのお財布事情を考えている病院だなと感じましたよ。
貼り薬にまさかの苦戦
さらに、生理が始まって3日ほどした頃から「エストラーナテープ」という貼り薬もスタートします。お腹に貼り、2日おきに新しいものに貼り替えます。
「貼るだけなら楽チンだ!」と思っていたのですが…これが少々厄介なものでした。このテープは、1度貼ったら丸2日間貼りっぱなし。「お風呂のときもそのままで大丈夫」と言われていたのですが…。
これ、どんどん端っこからはがれてくるんです(泣)フヨフヨになった部分はもう皮膚にくっつかないため、どんどん貼れている面積が狭くなっていく…。
「これだと効果が薄くなるかも」と焦った私は、応急処置として医療用のテープで抑えることに。すると、剥がれはしないものの肌がかぶれだしたんです…。そのため、この時期は常にお腹のかゆみと戦っていました。
しかも、途中からテープの枚数が2枚、3枚へと増え続けるんです(泣)お肌の弱い方は、覚悟しておいた方がいいかもしれません…。
久しぶりの病院へ
採卵後の生理が来て2週間後、久しぶりに病院へ行きました。先生から「よし、来週に移植しよう」と告げられ、さらに追加のエストラーナテープが渡されます。
さらに、新たに膣剤もスタート。
自分で膣の中に入れるタイプの薬なのですが、これもまた厄介でした。
膣に薬を入れたあと、しばらくするとドロドロに溶けた薬の残りが下から出てきちゃうんです…。この感覚がなんとも言えない気持ち悪さで、下着まで汚れてしまいます。
しかも、膣錠は1日3回。
仕事を長時間している人は、職場のお手洗いで薬を注入しなければならないそうです。
この日の会計は、追加のエストラーナテープと膣剤、それに移植決定による「融解代」も加わり30,750円に。また、その翌日にも注射だけ打ちに行ったのですが、その費用は620円と激安でした。
シート法
私は「シート法」を選択したので、移植日の2日前にシート移植をしに行きました。いつもの内診台に乗って、人工授精の時のように液を注入されます。
チューブを入れる違和感はあるものの、痛みはありません。「培養液が入ったな~」という感覚もなし(笑)「この培養液があとから出てくる心配はありませんよ」という説明をされました。
この日はこれでおしまいです。お会計は32,400円でした。
移植当日
シート移植の2日後、ついに卵ちゃんをお迎えに行きます。自分でも不思議なほど「久しぶり、卵ちゃん!おかえりなさい!」とメルヘンな気分になりました(笑)
移植したのは、もちろん一番グレードの高かった4ABの胚盤胞。まれにうまく融解できないケースもあるようですが、問題なく融解したと聞いて安心しました。
採卵に比べると、痛み止めの座薬も点滴もなく、かなり負担が少ないように感じました。ただ、エコーが映りやすくなるために「尿を溜めた状態にしておく」という決まりがあったのですが…。
家を出る前にうっかりトイレに行ってしまった私は、そのあと必死に水をがぶ飲みすることに。そんな努力も虚しく、移植中に「おしっこが溜まってないねぇ…うーん…」と先生が苦戦していました(泣)
みなさん、移植前のトイレにはくれぐれもお気を付けください…。
その後はベッドで50分ほど横になって休憩し、名前を呼ばれたら会計を済ませて帰宅します。まだ貼り続けなければならない、エストラーナテープの追加分ももらいました。
移植後から判定日まで
私の中に、受精卵がいる…。
そう思うと、いままでにはない満たされた気持ちになりました。いつもよりゆっくり歩いてみたり、そっと階段を下りたり。ちょっとした妊婦さん気分です。
とはいえ、バイトは休めないので今まで通り出勤していました。スーパーへの買い物も行っていましたよ。
移植日から5日後、追加の注射を打ちにいきます。費用は620円!もはや交通費の方が高いです(笑)
フライング検査
その注射の帰り道、ドラッグストアで妊娠検査薬を購入しました。病院での判定日を5日後に控えていたのですが、ネットで「早い人ではもう陽性反応が出る」と聞いていたんです。判定日まで冷静にいられそうになかった私は、「フライング検査をしよう」と決めていました。
結果は…真っ白の陰性でした。
今までも生理が来るたびに毎回泣いていましたが、今回は比べものにならないくらい号泣しました。
体外受精もダメって…
しかも、1番グレードのよかった4ABだったのに…。もう私の精神はズタボロ。
注射のために病院に行く前にフライングをしなくてよかったです。その前に陰性を知ってたら、もう行く気ゼロになっていたはずですから。
でも、フライングはしてよかったと思っています。それまでのソワソワから解放され、判定日の心構えができたので。この日から判定日までは、全く期待しない状態で過ごしていました。妊婦さん気分も、すっかり吹き飛んでましたね(笑)
判定日
「もう陰性って分かってるし、行く意味あるのかな?」と思いながらも病院へ。まずはトイレで採尿し、しばらくすると診察室に呼ばれました。
先生の手元には、デジタル式の検査薬が。予想通り、陰性の表示がくっきり出ていました。
「うーん。今回はダメだったねぇ…」と告げる先生。
「あぁ…はい」
「まぁでも、次も移植しましょうね」と、ささっと次の話に移りました。
なにも感じなかったといえば嘘になりますが、フライングの時に比べるとダメージはかなり少なかったです。やはり、フライングをして正解でした。
そのあと、血液検査を行ないます。
「尿検査で陰性でも、血液検査でHCGが出るかもしれないから」とのこと。着床していれば、このHCGという数値が大きくなるのです。
「血液検査の結果、妊娠していれば電話をしますね。もし電話がなければ、いま使っている薬は止めて大丈夫です」と言われましたが、案の定病院からの連絡はなし。
こうして、私の初めての体外受精は陰性に終わってしまいました。先生からの「今回はダメだったね」の一言で、ウン十万円も今までの苦労も水の泡になるのか…と思うと、なんだか虚しい気持ちに…。
とりあえず、次回の移植に向けた大量の薬を抱え、会計の8,840円を支払って帰ってきたのでした。
まとめ
あとから判定日に行なった血液検査の数値を聞いたのですが、HCGは0.0だったそうです。つまり、「着床すらせず、かすりもしなかった」ということですね(笑)
着床率を上げるため、シート法もアシストハッチングも行なったのに。手持ちの中で一番グレードの高い胚盤胞を戻したのに。現実は厳しいものです。
とはいえ、凍結胚はまだまだ残っています!次回は、残りの移植の流れや結果をお伝えしますね!
ライタープロフィール
一児の母兼フリーライター。顕微授精で娘を授かる。この記事を書くにあたって当時の日記を読み返すと…自分がいかにどん底の毎日を送っていたかを改めて思い知りました(笑)